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助走期間ブログ

現在“助走期間”なフジキの日々を報告いたします。

登録日時: May 2009

Music for Weekend: Nara Leão “Dez Anos Depois”

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昨日から東京近辺は雨の日が続いている。梅雨までまだ間があるとは思うが、今回は雨の日に楽しめそうなアルバムの紹介。ナラ・レオン(Nara Leão)の「美しきボサノヴァのミューズ」(原題 Dez Anos Depois)でしっとりと雨の日のちょっとゆったりとした午後にはボサノヴァを楽しんでみるというのも良いのではないかと思う。ジャケットが雨のパリである事も“雨の日にあう”という気分にバイアスをかけているのかもしれない。

このアルバムレビューで時々目にするのは、失意の女性歌手がパリで昔のブラジルを思い出しながら歌ったボサノヴァのアルバムだという事(実は違うのだが)。ブラジル本国が軍事政権だった時代、反政府的な活動をした多くのアーティストが国外追放になっている。ナラ・レオンも当時はそうした事からパリで活動していた。このアルバムはその当時に録音されたもの。
また、ナラ・レオン自身はボサノヴァ黎明期の重要人物であったにも関わらず、その後に反ボサノヴァの立場になりナラ・レオン自身はボサノヴァのアルバムを当時残さなかった。それから10年の年月が経ち(原題のDez Anos Depoisは10年後という意味)、ボサノヴァの様々な代表曲を歌った彼女初のボサノヴァ・アルバムとなった。

そのようなことから悲しく郷愁にあふれた、ちょっとダウナーなアルバムと誤解されることもある。しかしプロデュースをしたホベルト・メネスカル(Roberto Menescal)のインタビューを以前に読んだところ、それどころか「非常に気力の充実している時期」で非常にポジティブな雰囲気で、再度ボサノヴァに取り組む意気込み、活力に溢れたレコーディングだったと記されていた。
実際にこのアルバムを聴くと非常に美しく、ボサノヴァの魅力を再発見するような印象を受ける。ボサノヴァがブレイクした時ではなく、それを海や太陽から遠い異国の地で振り返って、当事者であった彼女が見つめ直した結果だからかもしれない。

帰国後も子育てなどで一時引退していたナラのカムバック作は、冒頭の写真の後ろに置いてある「ナラと素晴らしき仲間たち」(原題 Os Meus Amigos São um Barato)で、このアルバムは様々な種類のブラジル音楽、様々なブラジルのミュージシャンと競演しているのだが、それがジャンルを超えて「ナラ・レオンの音楽」になっているところが素晴らしい。こちらのアルバムも彼女の作品を聴いてみたいという方に是非お勧めしたい。

ナラ・レオンは1989年、6月に予定されていた東京に行き、新幹線で7つの都市を巡る予定で日本行きを楽しみにしていたという。しかしナラの日本行きは実現しなかった脳腫瘍が急に悪化しすべてを支配してしまった。遺作は日本ポリグラムの提案によるアメリカン・スタンダードをボサノヴァで歌うアルバム“Onde e Quando”…邦題は「いつか、どこかで。」

[参考情報]