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助走期間ブログ

現在“助走期間”なフジキの日々を報告いたします。

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登録日時: Jun 2009

トム・ピーターズのサラリーマン大逆襲作戦 – ホワイトカラー革命に対応できるプロになれ!という情熱を持った煽動

r0010415ブランド人になれ! 」ではじまるトム・ピーターズ著「サラリーマン大逆襲作戦」三部作 残りの「セクシープロジェクトで差をつけろ!」、「知能販のプロになれ! 」を読み終えた[参照:ブランド人になれ – フリーエージェントな世の中でサバイバル]。このシリーズは楽観的ポジティブ思考バリバリの文章を用いて(翻訳の質が高い!)、今すでに進行しているホワイトカラーの仕事が大転換を起こしている…という状況でサバイバルするための提言をまとめている。

各自がプロ中のプロになろう!(=個人事業主的観点で仕事ができるようになろう! つまり「ブランド人になれ!」という事)、そして仕事はつまらない日常業務ではなく、しびれるようなカッコ良いプロジェクトにしなくてはならず、また財務や人事などの間接部門も含む各部門は一部書に甘んじないで、1つの知的サービス企業体として自覚を持って運営されて行かなく必要がある!と述べている。

つまりこういう事だ。今までの仕事のやり方が好きか嫌いか?はともかく、これからの仕事のやり方はどんどん「プロジェクト的」になっていく。最初から大プロジェクトか1〜2人でやるものかはともかく、ルーチンワーク的なモノがどんどん排除されていく。ハリウッドの映画制作のような巨大プロジェクトかもしれないし、広告・プロモーションなどを考える、もしくは新製品企画かもしれない。
そして上記の例のハリウッド映画のように、プロジェクトに参加する人はスター俳優かもしれないし、照明やメイク、大道具といった裏方かもしれないが、超一流のプロである事が求められる。
一方間接部門に代表されるような各種ルーチンワーク的な仕事は、このままではERPなどのシステムやアウトソーシング・サービスに駆逐されてしまう可能性が極めて大という事になる。

ではどうすれば良いのか?トム・ピーターズは初期Macintosh開発部隊になぞらえて反逆児になれ、「海賊旗を上げろ!」と言う。そして仕事を今までとは違ったしびれるようなカッコ良いプロジェクトにしろ!と言う。また巨大プロジェクトを探すのではなくとも小さな事柄をビッグ・プロジェクトの芽にできるよう努力しろ!と煽動する。
また、このためには単に今までと一緒のメンバーに限定せず、どれだけ奇人・変人を内外から集めてプロジェクトメンバーにするなどして最高にイカれているアイデアを手にすること。そして職人肌なだけでなく、いかに売り込みをかけるか?お客さんを巻き込めるか?というセールス能力をブーストすること、そして政治力を毛嫌いせずに最終的にプロジェクトをいかに成功させるか?という事に全力を上げること…こういった事を、勢いと説得力のある言い方で著者は具体的な方法を「やってみよう」として提示してくれている。

間接部門がアウトソースではできえない独自色を強めている例として、私は「不機嫌な職場」に紹介されていたサイバーエージェントの例を思い出した。人事本部の役割は経営と社員のコミュニケーション・エンジンだと言い、同本部内にはデザイナーまでいた上でポスター・社内報をはじめ社内人材の攪拌や交流のためユニークな仕組みを多数作り出すといった取り組みをしているという。同部門の正否はわからないが、いずれにしても直接・間接関わらず、こうしたドラスティックな取り組みが求められていくことは間違いない。(そうでなければ、いずれはアウトソースに置き換えられる?)

トム・ピータースの提示・煽動するプロフェッショナルによる新しい仕事のカタチや職場のカタチは、自分の腕に覚えがあって常に新しい事にトライしていきたいと思うような人物にとって極めて魅力的だ(もちろん異論があること、別の考えがあることは承知している)。また、そういう働き方をしたいのだが、現実はそうでは無い…というケースも少なくないだろう。著者は自分の墓標に以下のことは書かれたくないと述べていた。

私はすごいことをやりたかったのだが、上司がやらせてくれなかった。

さて、あなたは、そして私はどのようにこれからの仕事人生を生きることになるのだろうか? 状況・環境を言い訳にして「仕方がない」というのか?それともトライしてみるのか? 私は結構よい年ではあるのだが、後者以外で生きていきたいとは日増しに思わなくなっている。

登録日時: Jun 2009

ザ・ファシリテーター – ファシリテーションの活用現場を仮想体験

ザ・ファシリテーター
最近気になりだしたキーワードに「ファシリテーション」がある。これは言ってみればチームの学習や創造プロセス、コラボレーションを支援するための方法を体系的に行うテクニックと言えるだろうか[参照:ファシリテーション − @IT情報マネジメント用語事典]。これは小さく捉えればミーティング/ブレスト運営のテクニックと考えられ、また大きく考えるとチームや組織に対するコーチング…とも言えるのかな? 正直、私はファシリテーションなど聞きかじっただけで殆ど分かっていないので、少しは勉強する必要があるかも…と、入門書的な本「ザ・ファシリテーター」を読んでみた。

この「ザ・ファシリテーター」はいわゆる“入門書”ではなく、小説のカタチファシリテーションを実際に活用した現場とはどのようなモノか?を紹介してくれる。分かっていない私にはありがたい。

ストーリー的に主人公はマーケティングチームのリーダーであった女性、彼女は高いファシリテーション・スキルを持っており、それを活かして異動先の製品開発センター長で組織を活性化していく、またその後には会社全体の改革運営においても、主人公及びプロのファシリテーターが参加して、素晴らしい成果をあげていく…というもの。

ファシリテーションが極めてうまく導入でき、活性化に成功すれば、こんなに素晴らしい効果が発揮できるんだよ!という仮想的な成功事例として読んでいくことができる。出てくる細かい思考プロセスの各々のテクニック自体は各種アイデア関係の本や分析関係、MBA系コンサルティング本などでよく紹介される内容 – 既視感はある。
それでも、どのようなシチュエーションで、どういう風に取り上げれば効果的か? さらには、人間を観察していきながらどのような道具をどのように取り出していけば効果的か?など、いままで漠然とした「点」でしかなかった知識を繋いで具体的なカタチとして紹介してもらうと腹に落ちる部分も多い。

この本のストーリーではファシリテーションが極めて様々な部分で大活躍しており、現実ではこうすんなりはいかないだろう…とは思う。また、大規模な会社組織変革のため…みたいな内容は、自分が実際にやる機会は直近では無いだろう。それでも、実際にWebディレクション、システム開発の現場などの仕事で小規模なチームを率いること、そしてそのチーム全体の創造性を最大化するための努力…という役割は年長の私に回ってくる可能性大である。

本に出ている内容にはいかにも「外資系です」的な匂いもあって、直接取り入れるのが賢明かは分からない。それでも、いままでの職人頭的な「俺の背中を見ろ、俺の技術を盗め」みたいな発想ではこれからうまくいかないだろう…ということも確かだ。これから行う可能性のあるプロジェクトはどれも自分ひとりで頑固職人的に作っていけるモノではない。チームとしてどれだけクリエイティブになれるのか?という側面で、今後ファシリテーションに関してももう少し勉強し、消化した上で使っていきたいと感じている。

尚、蛇足だが、ハウツー的な内容を小説仕立てでストーリーを持たせながら説明するというスタイルは初心者向けとしては、なかなか良いと感じた。頭の中でイメトレができるため、より具体的なシチュエーションを想像できる。もうちょっとこの部分を中心に勉強したいと考えることもできるのが良い。ちなみに私は自分が苦手な分野の勉強にはこの手のストーリー仕立ての本を手に入れるようにしている。他にも会計・管理の初心者本として「餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?」や、起業・ベンチャー企業経営として「成功者の告白」なども読んだ。これからも異分野を学ぶ最初の取っ掛かりとして、まず頭に記憶させるためにはそうしたアプローチの本がから入っていこうと思う。

登録日時: Jun 2009

ブランド人になれ – フリーエージェントな世の中でサバイバル

トム・ピーターズのサラリーマン大逆襲作戦〈1〉ブランド人になれ! (トム・ピーターズのサラリーマン大逆襲作戦 (1))パーソナルブランディングという事を本ブログでも何度か書いている。
今回は「エクセレント・カンパニー」という本で一躍有名になったトム・ピータースが書いた「トム・ピーターズのサラリーマン大逆襲作戦〈1〉ブランド人になれ! 」という本について書いてみる。一般的にパーソナルブランディングというと、経営者・起業家もしくはフリーランスなどを対象にするが、こちらはホワイトカラーが対象読者。

「ブランド人になれ!」では、ホワイトカラーの立場においても、同じ会社に勤め続けるスタイルは崩壊し、会社に依存する生き方は無効になった。ある意味これからは普通の会社員・ビジネスマンと言えどもフリーランス、フリーエージェント的に動く必要がある…そしてそのためには自分を確固たるブランドに仕立て上げなければサバイバルできないと説く。
これまでは無名ですごせたが、これからはそうはいかないという事だ。会社勤めをしているとしても、例えば自分は株式会社フジキであり、そのCEO フジキである…という意識を持ち、自分をどう付加価値の高い商品にできるか?そして名前をブランド化できるか?という事に力を注ぐ時代だという。

自分のブランドを作り出す具体的な方法として、人のネットワーク形成、ネットなどによるアピールから、少し前に本ブログでも取り上げたような「変わった肩書」、などの方法はもとより、一番大切な自分の強み、競争力、差別化ポイントといったものをきちんと明確化し、それを積極的にアピールするという事をしていかなくてはいけない。

このようにプロ/フリーエージェント化したホワイトカラー達の働き方は、相当にプロジェクト指向を強め、まるでGoogleでの各プロジェクト運営のような、もしくはハリウッドの映画制作のように各プロフェッショナルがプロジェクト毎に離合集散を繰り返すというイメージだろうか。
そしてそうした環境で仕事を得て、また活躍するためには、より自分を売り込むための能力が重要視されることになる。そのためには、既に広く認知されている状態にならないと、つまり“その他大勢”ではなく、その筋(どんな小さな市場でも)では有名…つまりブランド人であるという立場にならないと生き残れないという事だ。

同書筆者はアメリカ人で、米国の状況がベースにあるため、「日本ではそこまでは…」という部分も少なからずあるし、ホワイトカラーのフリーエージェント化も日本ではそこまで進んではいない(外資は除く)。とは言え、終身雇用など今までの雇用慣行が日本でも崩壊しており、今後は周回遅れ的に米国式の弱肉強食…というか日本の社会も適者生存な環境になっていくのは容易に想像できるのではないか?
実際に国内のビジネス本セールスなどでも、ここ数年はより個人スキルを上げ、よりプロとして仕事をする勉強本のニーズが高まっているという話を聞く。

さて、その際に不味いカタチでビジネスマン達がフリーエージェント化を指向すると、前回紹介した「不機嫌な職場」的な個々人がバラバラになり、組織としてのコラボレーションが機能不全になるという事に陥りかねない。
一方で、映画、プロスポーツなどを考えれば、強烈なプロ意識・フリーエージェント意識とチームでの共同作業は両立可能だろう。ただし、今までとは違ったカタチでのチームによる仕事を考えて行かなくてはいけない…モチベーションも意識もいままでとは違う。そういう意味でGoogleは素晴らしい成功例だろうが、すべての人たちがGoogle社員のような天才達ではない。
ブランド人になる人たち、なれない(ならない)人たち、それをどうまとめて1つのチームとして機能させるか? これからのチーム作り仕事はいままでとは違ったレファレンスが必要になってくるのかもしれない。

登録日時: Jun 2009

不機嫌な職場 – 協調できる組織をつくるには?

不機嫌な職場~なぜ社員同士で協力できないのか (講談社現代新書)昨年に話題になったベストセラー「不機嫌な職場」を、いまさらながら読む。

なぜ多くの会社で社員同士が協力できないギスギス環境になったか? なぜ社員間の繋がりが薄く社員は孤独感を持ってしまうようになるのか?…そうした状況がストレスで社員の心身の健康を害する、さらには業務効率の低下を招き、様々な大問題の火種になっている。こうした状況の根本的な原因は、個々人の資質よりも組織の問題、構造的な問題だという。

組織の力は「個人の力」と「個人間のつながり」のかけ算、従って個人間のつながりの強い組織を設計・デザインをしていく事は経営マターであると同書は説き、その解決策をケーススタディなどから探る。

[本エントリの内容]

  1. 協力のフレームワーク
  2. 協力し合えない原因
  3. 協力をできるようにするためには?
  4. まとめ

1. 協力のフレームワーク

社会的に協力できるためにはどのような要素があるのか?そのために同書で提示されたフレームワークが以下となる。

  1. 役割構造 → 各人の役割や責任 この定義により誰と協力すべきか?が組織として規定される
  2. 評判情報 → 人は知っている人に協力する この人はどんな人か?という情報
  3. インセンティブ → なぜ協力をすべきか?という動機付け

2. 協力し合えない原因

では、何故協力しあえない、ギスギスとした会社になったのか?に関して、同書では以下の仮説が挙げられている。

  1. タコツボ化 → 組織の高度専門化、個人の専門家・プロ志向による役割構造の変化
  2. 評判情報流通・情報共有低下 → コミュニティ機能低下、非公式な出会いの場の減少
  3. インセンティブの変化 → 社員が会社をあてにしない、会社側は生活を保障できなくなったため、協力に対しインセンティブが働かない

企業の成果主義導入、効率アップのための仕事の高度化・専門化を背景に、各部署・各個人の業務内容が分断化される傾向にあり、これを同書はタコツボ化と呼ぶ。
また、旧来行われていた社員旅行や運動会などの社内各種イベント、同期会などの様々な機会で形成されていた人との繋がりが減少し、評判情報流通…人と人が垣根を越えて知り合う機会が失われる。
さらにリストラや倒産リスクなどで、会社が面倒を見る[終身雇用]←→会社(という共同体)に貢献する というインセンティブが大幅に低下した。逆に各個人はスキル開発 自己投資の方向性により強いインセンティブを見いだす。

上記のように各人・各部署がタコツボ化した役割構造になり、かつ各人が知り合いになる・認知する機会がなくなり評判情報が流通しなくなる。そして共同体への協力モチベーションも低下する傾向にある…こうした要素が重なって、会社という共同体への繋がりが希薄な、不機嫌な職場が形成されていくという。

3. 協力できるようにするためには?

このように不機嫌な職場となってしまう状況を再活性化し、各人が協力しあえるようにする方法として同書は集団的なコミュニケーションの促進が重要と言い、具体的対応策をグーグル、サイバーエージェント、ヨリタ歯科クリニックといったケーススタディから探る。

  1. タコツボ化の防止
    • ビジョン・ミッションの共有 – 何をするべきかという優先順位の規定
    • 人材の流動性向上 – 流動プロジェクト、社内異動活性化
    • セルフイメージを変える – タコツボ的な事から、広範囲に影響を及ぼす肩書きを持ってもらう
  2. 評判情報共有の場所作り
    • 人の交流を意識したオフィスづくり
    • 各種イベントの実施(社外のものに比べても楽しい事が重要)
    • 中核社員によるブログ運営、イントラネットなどによる人の情報共有
  3. 新しいインセンティブ – 認知
    • 会社にとって役立っているという社内での認知
    • 優秀な人であると認められる認知
    • お互い認めあえる楽しい職場であるという事

特にインセンティブに関しては重要と思う。これからの企業が社員個々の「生活を保障する」事は難しいからだ。変わって同書「不機嫌な職場」では自己認知欲求がかなえられる事を大きなインセンティブにすることを提示している。現在の社会は自分を認めてもらう機会がない「認知飢餓社会」であり、逆に言えば認知はかつてないほど大きな効力感を人々に与える力を持っているという。お互い認めあえるような共同体、自己認知を満足させる共同体作り…という点が、非常に重要になってくるのではないか?

4. まとめ

「不機嫌な職場」が多くなっていくのは、個々人の問題よりも構造的な問題の方が遙かに大きい。逆に言えば、それを踏まえた上で組織を構築していく、組織をデザインしていくという事が非常に重要なポイントなのだろう。とはいえ、同書によれば紹介されたケーススタディでも効果が出たと感じるまでどこも約3年かかった…というコメントを紹介しており、取り組みは中長期的視点で行う必要がある。そう簡単な特効薬は無いという厳しい現実でもあるのだろう。

中国人が日本の会社について語った「日本人は一人ひとりはそれほど強くないが、集団になると龍になる」というコメントをどこかの雑誌で読んだことがある。自分の会社を龍にできるのか?もしくは龍を作ろうとしている会社に今いるのか? コラボレーションによるパワーを発揮できる会社のグランドデザインをもっと真剣に考えなくてはいけない時期に来ているのだと思う。

登録日時: Jun 2009

急に売れ始めるにはワケがある – The Tipping Point

急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則 (SB文庫 ク 2-1)
予期せずに、場合によっては意図的な仕掛けをしないのに、何故か突然話題になる、流行になる、爆発的に売れるようになる…。時にロケットスタートのように物事がブレイクする時があるのは何故なのか?どういう事なのか?そして再現することは可能なのか? クチコミによって瞬く間に拡がっていってしまう現象を伝染病感染ネットワーク的観点から、仕組みを解明しようというのが、本書「急に売れ始めるにはワケがある」だ。

米国のある地域での梅毒の流行、誰も見向きもしなかった昔ながらの靴ハッシュパピーがブレイクした事、ニューヨークの犯罪件数の劇的な減少…といった様々なケースが、実は本質的に同一の仕組みで動いていると筆者は言う。まずそうした事が起きるには構成要素として以下のものが挙げられており、理想的な形でそれらが揃うことで一気にブレイクする現象が起きる…これを筆者はティッピング・ポイント(Tipping Point)と呼んでいる。

  1. インフルエンサー
  2. 感染する内容の粘り
  3. 背景・環境

1. インフルエンサー

インフルエンサーは、“伝染病”を様々な場所に拡大させる、影響力のある運び役のこと。ほんの少数の人が爆発的な広まりに多大な影響を与える。クチコミ関連の書籍を読むと、よく影響力のある人に積極的にアプローチして広めてもらう方法を考える…というような話が出てくる。本書で興味深かったのは、このインフルエンサーには以下の3種類あり、それぞれの役柄があるという。(尚、ケースによっては、一人で何役もこなすという場合はある)

  • コネクター
  • 通人(メイヴン)
  • セールスマン

コネクターとは人脈の広い社交性の高い人、それも様々な分野に人脈がある人。それによってある分野から別の分野へ“伝染させる”経路を作り出す。
通人(メイヴン)とは、ある分野に強烈に詳しく、かつ社交性を持つ人。イノベーター/アーリーアダプター層と、アーリーマジョリティ層への橋渡しを行う。
セールスマンとは説得能力の高い人。物事の「信頼性」アップにも貢献する。
こういった3者が揃うことで物事の“感染”が一気に広まる。

2. 感染する内容の粘り

病原体の潜伏期間の拡大など性質変異により、もっと感染が広まりやすくなるように、情報に何らかの「粘り」要素ができる事によってネットワーク途中で欠落することなく、情報の“感染”力が強まる。ほんの少しの違いで驚くほど感染力が高まる場合もあるという。
情報の粘りに関して、同書ではセサミストリートなどで児童の集中力を高めるかなどのケースが具体的なサンプルとして掲載されていた。私見では、この本で残念ながら一番ピンとこなかったのが、この粘りをどう作るか?という部分。この点に関しては以前に紹介した「アイデアのちから(原題 Made to Stick)」に非常に多くの方法論が述べられており、具体例はそちらを参考にすると良いと思う。

3. 背景・環境

ニューヨークの犯罪率を大幅減少させた「割れ窓理論」に代表されるように、背景・環境が変化することの、人格への影響力は想像以上に多大であるという話。これはバイアスが多少かかる…という生やさしい事ではないという研究結果も出てきているという。割れ窓理論では些細な荒んだ環境が犯罪を増大させるように、ある特定のポイントを突くことでかなりのレバレッジがかかるという。

同書では個人の性格は確固としたものではないと結論する。性格とはむしろ、習慣や志向性や関心の束のようなものであり、それぞれゆるやかに結ばれ、時と場合と背景しだいで変わるという、ように背景・環境による影響力はきわめて大きなものであると指摘している。

上記のように「急に売れ始めるにはワケがある」では、様々な具体例や調査結果を提示しながら、何故急速に広まるのか?というクチコミの原理をわかりやすく説明し、非常に参考になる本だった。一般消費財のプロモーションに関わっているワケでは無いので、バイラルプロモーションの仕掛け人になろう…などと思う事は無いが。ティッピングポイントを構成する様々な人間の心理・行動に関しては、純粋に知識としてもとても面白く読める内容だ。

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