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助走期間ブログ

現在“助走期間”なフジキの日々を報告いたします。

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“Experience”タグをつけられた記事一覧です。

登録日時: Jun 2009

Weightbot – 健康用数値管理もエクスペリエンスが重要

img_0068体重管理を行うiPhone用アプリWeightbotを使って、体重を記録しはじめて約3ヶ月が経過した。使い出したキッカケはWeightbotというアプリが、その分野ではかなりイケているユーザーインターフェースだ…という事を聞き込み、デザイン面で参考になるかもしれないと考えたこと。

特に「健康面での管理が必要!」というように構えたワケでは無い。ところが、すこしだけ記録を続けるほか特別に何かの減量をしたということもないのに、開始時の体重70kgは現在67kgまで少しずつ落ちてきている。ちなみにWeightbotに設定した体重の目標値は65kgだから、あと少し…というところまで来ている。予想外に効果があった。

どんな事に関しても、何かを実現するためにはちゃんと目標を設定して、かつ自分の今の状態を常に把握しておく事が重要とはよく言われる話。
今回のケースだと、目標体重を設定しておいて、かつ毎日の自分の体重が記録されている。そうすると、どんな食生活をしたら体重増加した、どんな運動したら体重が減った…というようにフィードバックの材料が手に入る。
意識か無意識かは別にして、そうすれば少しずつ太りそうなモノは避け、体重を減らす事をやる…という習慣が付いてくるのだろうと思う。未読だが岡田斗司夫のレコーディング・ダイエットはそれのもっと“ちゃんとした版”なのかなと思う。

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横にiPhone本体を倒してWeightbotで体重遷移をグラフ表示。

飽きっぽく、カタチから入る私のようなキャラの場合、iPhoneアプリのWeightbotのような使っていて気持ちの良いユーザーインターフェース、ユーザーエクスペリエンスというのは非常に重要。だいたいにしてソレが無かったら始める機会も元々無かっただろうし、いかにも「健康大好き!」みたいな画面だったら、三日坊主は確定だったろう。
デザイン的に良く、使っていて気持ちが良いからこそ続けられる→続けられるからこそ役に立つ→役に立つから結果が出る→結果が出るから、もっと続けようと思う…というように、デザインが良い循環を回す大事なキーファクターになり、継続する大事なモチベーションの源になっている。

正直、Weightbotのような体重数値を日々記録して、それをグラフ化する…という機能は、技術的には極めて初歩的なモノであり、それを持って差別化するのは極めて難しい。ただそこに楽しさ、気持ちの良さ、スマートさといった快適なエクスペリエンスによる演出が加わることで、他者とまったく違ったソフトウエアができあがっている。

Weightbotの例のようにわかりやすく無いにしても、ソフトウエア分野でも技術的な差別化が出来ない、もしくは技術的に差別化しても消費者の視点からは判断が出来にくい…というケースが多くなってくると思う。その場合のクリアな差別化要因の1つとしてエクスペリエンス・デザインの重みがこれから益々上がってくるのではないかと考えているし、そこに注力できない会社は中長期的には退場する羽目にあうのではないか?と予想する。

登録日時: Apr 2009

4色ボールペンのユーザー・エクスペリエンス

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僕はノートを作るときに、必ずといっていいほど4色のボールペンを使う。ノートの本文など内容をまとめるのに黒、そして補助的なメモを書き加えるのに赤、青、緑を利用する…という方法を取っている。この際に活躍するのがトンボのReporterというペン…そしてこのペンが提供する使い勝手がとても気に入っている。

  1. “ブラインドタッチ”できる形状の違ったノックボタン
  2. ReporterとLAMY、提供するエクスペリエンスの方向性の違い
  3. 「楽器のような」インターフェースというコンセプト

1. “ブラインドタッチ”できる形状の違ったノックボタン

このReporterの良く出来ているところは、各色のノックボタンの形状が違っていること。だからちょっと慣れてしまえば触感だけで自分の使いたい色を出せ、いちいち目で確認しなくても良いということ。書くということだけに没頭できるのでとても気持ちがいい。こういう細かい部分を気を使う/使わない違いで、全然ちがったユーザー・エクスペリエンスが生まれる。使っていく上での満足度が全然違ってくる…という点は強調してもしすぎることは無いし、今後自分が関わる様々なプロジェクトでも気を配って行かなくては行けない点だと思う。[参照:TOMBOW リポーター4 このアイデアは文房具にとどまらず、広く標準になり得る可能性を秘めている

2. ReporterとLAMY、提供するエクスペリエンスの方向性の違い

ちなみに、トンボReporterを愛用する前に利用していた4色ペンはLAMY 2000のマルチペン[参照:ラミー2000 4色ボールペン]。こちらはデザイン的に優れている…という事、そして各色ごとにノックボタンがあるのではなく、出したい色のラベルを見て(というか上にして)、1つだけあるノックボタンを押すと、その色が出てくるという機能が特色だった。ギミックとして面白いという点もあるし、デザインをクリーンでシンプルにするためのアイデアだなぁ…と思った次第。これはまた別方向のエクスペリエンスの演出だろうと思う。

ただ、何で使わなくなったか?というと、LAMY 2000を使う…というのはどこかデザインを楽しみ、余裕のある書き物ライフという感じが想像できる。だけど僕が4色ペンで書き物をするのは移動中の電車の中にサッと思いついた事をノートに書くことだったり、本を読みながら気になった部分に積極的に棒線やらメモを書き込んでいくという感じなので、ペンの機能も“ゆとり”や“気分の良さ”よりは“効率性”重視…そして記者がメモを書き込む事をサポートするというコンセプトで開発されたというReporterはかなり使用方法にマッチするため。

3. 「楽器のような」インターフェースというコンセプト

かなり前に楽器のようなデザイン…というインターフェースの別コンセプトが提示されたことがある。要は慣れるまで・習得するまでは若干時間がかかるが、慣れてしまえば自分の手足のように使いこなせるよう設計された道具のデザインだ。ともすればユーザーインターフェースは初心者でも簡単に使える…という点を重点に考えられやすいが、仕事の道具・プロの道具には「楽器のようなデザイン」というコンセプトを選択することも考えなくてはいけないだろう。トンボReporterはそのアプローチのとても身近で優れたサンプルだと思う。
尚、この「楽器のようなデザイン」に関しては、自分が今後考えて行かなくては行けない課題だと考えており、今後ちょくちょくこのブログでも登場するキーワードになるかもしれない。

登録日時: Apr 2009

差別化におけるエクスペリエンスの立ち位置 – QPE

User Interface、User Experienceをデザインする…という仕事をしていると、この要素がどのように製品やサービスの差別化ポイントになるか?というのを理解してもらえない場合がある。仮にある製品が革新的な特許を取得し、それによって他製品と簡単に差別化できる…というのなら、話は極めて簡単だ。ただそうした強力なイノベーションはそうそう生まれるものではない。そこで、勝手にQPE(Quality, Price, Experience)というフレームワークを提示し、なかでもExperienceこそが製品/サービスの最大の差別化ポイントである…と勝手に提言する次第。(ちなみに本日の内容は半分私の“寝言”みたいなもの)

上記のQPEは、よく言われる商品差別化ポイントQPS(Quality, Price, Service)を拡大したものだ。このQPS…従来商品であれば、商品の品質が良いこと、価格競争力があること、そしてサービス(顧客サービス:店頭での接客〜アフターサービスなど)が良いことの3点が競合との差別化に優位だ…というのは間違いない。また、成熟市場では、その中で最後の「S」…サービスの質が非常に重要な要素となっていると良く言われ、まさしくその通りだと思う。

その「S」を拡大解釈し「体験=Experience」の「E」に置き換えることが重要なのではないかと思う。パッケージなどのソフトウエアはもとよりプリンタ、カメラなど電機製品などでは、その製品を使っている際のエクスペリエンスが人や組織を介さない一種のサービスとして機能する。Quality要素でどれだけ機能が充実し、また作りが非常にしっかりした質感の良いものであっても、Price要素で価格競争力があっても、使い勝手が悪かったりしたらそっぽを向かれてしまう。Service要素で仮に電話でのユーザーサポートが非常に親切であるよりも、やはりモノそれ自体が非常に使いやすく、適切なサービス〜ユーザー体験を提供する方が満足度は遥かに高いはずだ。

モノ(やソフト)自体のサービス(機能)+人員/会社が提供する適切なサービスが相まって、総合的な高品質なユーザー体験を提供すること…つまりヒトとモノの両方で優れたExperienceを提供する…という差別化が、これからの重要なポイントになると言いたい。
電化製品など様々な製品を使っていると、そうした部分にどこかに「インターフェースに手を抜いてコストを抑えたんだろうな」と感じられることが多々ある。裏を読めば、ソフトの共通化や部品の都合などで、仕方なくそうした仕様になっているんだろうと感じることもある。

ただし、そういう事をしていると、Experienceに優れたiPodで携帯音楽プレーヤーのデファクトを奪われてしまったように、新しい製品にごっそりと差別化をはかられてしまうことになる可能性もある。これからはQPSのS要素…これをより拡大解釈してExperienceの「E」に置き換えたQPEを提案し、これからの製品/サービス開発にはExperience要素を重要視しなくてはいけないという事をプレゼンして行きたいと考えてる。

登録日時: Apr 2009

ユーザー・エクスペリエンスによる差別化 – iPhoneアプリ大辞林の場合

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iTunes Store登録アプリが25,000点を超えてレッド・オーシャン化(=競争激化)している。そうした環境下で突出して話題になっているアプリの1つに辞書アプリ「大辞林」がある。何故“辞書”が?という点を週刊ダイアモンドが記事「究極の枯れコンテンツ「辞書ソフト」の大ヒットが、iPhoneの可能性を広げた!」で取り上げている。それで何故辞書か?そして何故「広辞苑」ではなく「大辞林」か?そこの鍵の1つがユーザー・エクスペリエンスだと考えている。

  1. ユーザー・エクスペリエンスにより、製品価値を大幅に上げることが出来る
  2. iPhone市場は高いユーザー・エクスペリエンス性に敏感である
    (特にアーリーアダプター層)
  3. アーリーアダプター層に高評価を受け、ポジティブ・フィードバック(=トルネード効果)

1-a. どのくらいヒットしたのか?: 詳しくはダイアモンド・オンライン記事を参照してほしいが、大辞林は価格2,500円とiPhone用アプリとしては高額な部類にも関わらず、販売数が25,000を超えているというヒットぶり。ちなみに価格1万円代のパッケージ販売のアプリでは10,000以上がヒットと一般に言われている。もちろん海外製ゲーム等で大辞林より売れているiPhoneアプリはあるが、それほど母数が多く無い(一説には40万台以下の)日本国内市場規模では極めて異例。そして勿論、私も実際に愛用している。

1-b. エクスペリエンスが差別化を実現する: この大辞林のヒットを支えたのは、同アプリの徹底したユーザー・エクスペリエンス。iTunes Storeでユーザーレビューを読んでも、辞書なのに何時間でも使っていられるとか、辞書がこんなに面白いものだったとは、果ては電子辞書の再発明、電子出版の新しいカタチとまで評価されている。インデックス・グリッドで表示される様々な単語を辿ってある単語の意味を調べ、その説明文にある別の単語をなぞってその意味を調べる…それが続く…という“言葉の海”に潜るアプリケーション「体験」、言葉によるエンターテインメント「体験」は語彙貧困な私では言語化しにくい。

よくユーザー・エクスペリエンスというと、見た目がキレイな事、そしてユーザビリティを考えたユーザーインターフェースに視点が行く。そうした部分に留まらず「ソフトウエア」全体としてどれだけ特別な“体験”をさせるか?というエクスペリエンスの部分まで考えてソフトを開発することはまだまだ稀なケースだろう。いわゆる – ベースとなる「技術・機能仕様/要求定義」があって、その上にUIを被せる – のでは無く、ソフトウエア仕様から、企画段階から「ユーザーにどのような体験をしていただくか?」を真剣に考えないと実現できないものだ。そして大辞林はこの点に注力し、ヒットという結果になった。

2. iPhoneユーザーのエクスペリエンス指向(市場性): iPhoneを手に入れようとするユーザーは元々ユーザー・エクスペリエンスに対して非常に敏感な層が多い。iPhone自身が「機能」1つ1つを取れば、他の携帯とそれほど大きく乖離しているわけでは無いが、その使い勝手、マルチタッチによる革新的な操作性、デザインの良さ…こういった「体験」を評価している理由でiPhoneを手に入れている。特に、アーリーアダプターと言われる初期のユーザーはこの部分について非常に敏感だ。

従って単に「機能」を満たす、満たせればそれで良い…という従来のアプローチを取っている場合、ビッグブランドであってもiPhoneユーザーにそっぽを向かれる場合も多い。例えばCMでも有名なNaviTimeはiPhone市場撤退し、かわりにエクスペリエンスに優れる「駅探」の方が評価された。同じくビッグネームmixiアプリもかなり低い評価に甘んじている状況だ。

3. 初期ユーザー発のポジティブ・フィードバック: iPhoneアーリーアダプター層=Blogで意見を発信したり、iTunes Storeに(Amazonのような)レビューを積極的に書く層に評価を受ける事により、ネット検索でiPhone国語辞書では「大辞林」が上位に登場するし、しかも評価は高い。またiTunes Storeの辞書アプリランキングでは1位、ゲームも含む総合ランキングでも8位となる(本エントリ執筆時点)。

そうなってくると、新規ユーザーは検索結果やランキングなどから判断して、辞書アプリ購入時はまず大辞林 – そしてその行動が順位を上げ…という正のフィードバックとなっていく。この辺りは新しいマーケティングの理屈AISAS理論を思い起こさせる。高評価をするという“感情”をもってもらい、それを共有してもらうことで正のフィードバックを回すには感情に訴える体験が必要不可欠だったのだと考えている。

今回の話は、特にユーザーエクスペリエンスを重要視するiPhoneだったので顕著だったのだろうが、欲しいものは検索で探す、他の人の意見/評価記事を参考にする、そして気に入ったモノについては自分も評価を共有するというネット時代は(AISASの事も考えれば)ソフトに限らず、ユーザー側の所有する喜び・満足度を上げるという事が必要になってくると考えられる。ともすれば特許を持っている、機能的に他者よりも良いという点が取り上げられやすい(そして文章化しやすい)が、実際にはエクスペリエンスの重要性/強みというものをより意識した方が良い。
そして、自分にとってはエクスペリエンスを理解してもらえる、説得できる語彙…単に「使いやすい」とか「初心者でも簡単」以上のものを多くの方々に納得してもらうために必要になってきていると考える次第。久しぶりにかなり長いエントリを書いた。最後までつきあってくれた方、ありがとうございます。