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助走期間ブログ

現在“助走期間”なフジキの日々を報告いたします。

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“Management”タグをつけられた記事一覧です。

登録日時: Aug 2009

「ゆとりの法則」と「ピープルウェア」を再読する

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だいぶ前に読んだ記憶がある、トム・デマルコの著作一連のうち、「ゆとりの法則 – 誰も書かなかったプロジェクト管理の誤解」そして「ピープルウエア 第2版 – ヤル気こそプロジェクト成功の鍵」をふと気になって再読した。基本的に両書とも人の尊重、チームのつくり方…そういったものについての示唆に富んだ「古典」とも言えるものだ。初版は1987年なのに未だに読み継がれているIT関連の本…技術ではなく、働く人にフォーカスしたこれらの本の内容は色あせていない。

例えば、工業化的側面から「効率化」し過ぎた組織と、今後重要になる知識集約型の組織でのありかたの違い、人間のことを考えたプロジェクト運営方法など、今読んでも頷けるコトが極めて多い。
また、数年以上前に最初に読んだときは、まだ私はスタッフ(つまりヒラ)であり“今の上司や会社がどれだけ間違っている・ダメである”という視点が強かったのに対し、年齢を重ねてチームを動かさなくてはイケナイ立場になってしまった今の視点では感じるコト、感じるポイントがかなり違う。

例えば、「ゆとりの法則」で挙げられているまちがった管理の第二法則 ––– 自分自身のユーティリティープレイヤーになれ。という箇所。部下たちを効率的に動かさなくてはいけないため、結局部下にすら任せられない優先順位の低い仕事(雑務)を管理者がする羽目になってしまうコト。もちろん、それでは管理者が高給取りの雑務担当というワケのわからないモノになってしまう。もしくは欠員が出たりチームのキャパが足りないから、管理者がプレイヤーにもなってしまう…結果としてチーム運営の部分が薄くなってしまうという状況が心に引っかかった。

正直、自分自身がまだバリバリに開発に参加できる…という気分を持っていたいがために、現場の方に入っていきたくなる誘惑はかなり強い。一方で現場の仕事というのはクリアな内容であるのに対して、管理が絡むと、人間関係、組織関係、戦略など、すべてが正解の無いグレーで霧に包まれている状況になる。実は、管理者が現場に戻ると安堵するというのは、管理の仕事から逃れられるという安堵感でもあるという。

私は、この点に関して、かなり自分自身が陥りやすいタイプである…と改めて実感している。実際これまではそうしたカタチで仕事をしてきた部分も多い。これからチーム運営を行っていく状態になったら、そこの部分を変えて行かなくてはいけない。そうでないとチームも自分も不幸な道を辿ることになるのではないかと感じる。

登録日時: Jun 2009

不機嫌な職場 – 協調できる組織をつくるには?

不機嫌な職場~なぜ社員同士で協力できないのか (講談社現代新書)昨年に話題になったベストセラー「不機嫌な職場」を、いまさらながら読む。

なぜ多くの会社で社員同士が協力できないギスギス環境になったか? なぜ社員間の繋がりが薄く社員は孤独感を持ってしまうようになるのか?…そうした状況がストレスで社員の心身の健康を害する、さらには業務効率の低下を招き、様々な大問題の火種になっている。こうした状況の根本的な原因は、個々人の資質よりも組織の問題、構造的な問題だという。

組織の力は「個人の力」と「個人間のつながり」のかけ算、従って個人間のつながりの強い組織を設計・デザインをしていく事は経営マターであると同書は説き、その解決策をケーススタディなどから探る。

[本エントリの内容]

  1. 協力のフレームワーク
  2. 協力し合えない原因
  3. 協力をできるようにするためには?
  4. まとめ

1. 協力のフレームワーク

社会的に協力できるためにはどのような要素があるのか?そのために同書で提示されたフレームワークが以下となる。

  1. 役割構造 → 各人の役割や責任 この定義により誰と協力すべきか?が組織として規定される
  2. 評判情報 → 人は知っている人に協力する この人はどんな人か?という情報
  3. インセンティブ → なぜ協力をすべきか?という動機付け

2. 協力し合えない原因

では、何故協力しあえない、ギスギスとした会社になったのか?に関して、同書では以下の仮説が挙げられている。

  1. タコツボ化 → 組織の高度専門化、個人の専門家・プロ志向による役割構造の変化
  2. 評判情報流通・情報共有低下 → コミュニティ機能低下、非公式な出会いの場の減少
  3. インセンティブの変化 → 社員が会社をあてにしない、会社側は生活を保障できなくなったため、協力に対しインセンティブが働かない

企業の成果主義導入、効率アップのための仕事の高度化・専門化を背景に、各部署・各個人の業務内容が分断化される傾向にあり、これを同書はタコツボ化と呼ぶ。
また、旧来行われていた社員旅行や運動会などの社内各種イベント、同期会などの様々な機会で形成されていた人との繋がりが減少し、評判情報流通…人と人が垣根を越えて知り合う機会が失われる。
さらにリストラや倒産リスクなどで、会社が面倒を見る[終身雇用]←→会社(という共同体)に貢献する というインセンティブが大幅に低下した。逆に各個人はスキル開発 自己投資の方向性により強いインセンティブを見いだす。

上記のように各人・各部署がタコツボ化した役割構造になり、かつ各人が知り合いになる・認知する機会がなくなり評判情報が流通しなくなる。そして共同体への協力モチベーションも低下する傾向にある…こうした要素が重なって、会社という共同体への繋がりが希薄な、不機嫌な職場が形成されていくという。

3. 協力できるようにするためには?

このように不機嫌な職場となってしまう状況を再活性化し、各人が協力しあえるようにする方法として同書は集団的なコミュニケーションの促進が重要と言い、具体的対応策をグーグル、サイバーエージェント、ヨリタ歯科クリニックといったケーススタディから探る。

  1. タコツボ化の防止
    • ビジョン・ミッションの共有 – 何をするべきかという優先順位の規定
    • 人材の流動性向上 – 流動プロジェクト、社内異動活性化
    • セルフイメージを変える – タコツボ的な事から、広範囲に影響を及ぼす肩書きを持ってもらう
  2. 評判情報共有の場所作り
    • 人の交流を意識したオフィスづくり
    • 各種イベントの実施(社外のものに比べても楽しい事が重要)
    • 中核社員によるブログ運営、イントラネットなどによる人の情報共有
  3. 新しいインセンティブ – 認知
    • 会社にとって役立っているという社内での認知
    • 優秀な人であると認められる認知
    • お互い認めあえる楽しい職場であるという事

特にインセンティブに関しては重要と思う。これからの企業が社員個々の「生活を保障する」事は難しいからだ。変わって同書「不機嫌な職場」では自己認知欲求がかなえられる事を大きなインセンティブにすることを提示している。現在の社会は自分を認めてもらう機会がない「認知飢餓社会」であり、逆に言えば認知はかつてないほど大きな効力感を人々に与える力を持っているという。お互い認めあえるような共同体、自己認知を満足させる共同体作り…という点が、非常に重要になってくるのではないか?

4. まとめ

「不機嫌な職場」が多くなっていくのは、個々人の問題よりも構造的な問題の方が遙かに大きい。逆に言えば、それを踏まえた上で組織を構築していく、組織をデザインしていくという事が非常に重要なポイントなのだろう。とはいえ、同書によれば紹介されたケーススタディでも効果が出たと感じるまでどこも約3年かかった…というコメントを紹介しており、取り組みは中長期的視点で行う必要がある。そう簡単な特効薬は無いという厳しい現実でもあるのだろう。

中国人が日本の会社について語った「日本人は一人ひとりはそれほど強くないが、集団になると龍になる」というコメントをどこかの雑誌で読んだことがある。自分の会社を龍にできるのか?もしくは龍を作ろうとしている会社に今いるのか? コラボレーションによるパワーを発揮できる会社のグランドデザインをもっと真剣に考えなくてはいけない時期に来ているのだと思う。